最近、ようやく朝晩の風に秋の気配を感じるようになりました。長かった夏がようやく終わってくれるのでしょうか…。
刺すような日差しと蒸し暑さが続いた今夏、ご来店いただいたお客さま方にはいつもより深く頭を下げてしまう毎日でした。本当にありがとうございます。
ご来店いただくだけでもありがたかったのに、さらに嬉しい言葉をかけていただくことが多々あり、そんなやりとりをお客さまとできることが、カウンターに立っている私のモチベーションになっていました。
「暑すぎて店が暇です(とは言わずとも、遠回しにそれっぽい内容を書いたSNS)」の投稿を見て、大汗をかきながらわざわざご来店くださった方々。
「がんばってくださいね!お店、続けてくださいね!」と最後に応援の言葉と笑顔をいただきました。(こんな優しいお客さまが複数いらっしゃるのです😢)
とはいえ、そんなに悲観した投稿を上げてしまったのか……。もちろん、借りているものを返さないといけないので、まだまだお店は続けますよ!
そんな温かいお客さまの声を、店主にも直に聞いてほしいな~ と願っているのですが、奥の工房で製造に勤しむ店主が、お客さまと直接言葉を交わすチャンスは滅多にありません。
ある日ご来店の男性のお客さま。頻繁にお買い物に来てくださる常連の方で、パテやスライスソーセージなど、ご家族皆さまのお気に入りの定番アイテムをお求めくださいます。
ひょんなタイミングで、店主がカウンターに立って接客していました。
お会計の後、
「いつも美味しくいただいています。ごちそうさまです。」
とその男性は会釈をしながら店主に言葉をかけてくださいました。
その言葉を、心の引き出しに大切に仕舞い込むかのように一瞬の間をおいて、店主は、
「ありがとうございました。」
と深々と頭を下げていました。
作り手である店主が直接お客さまのリアクションに触れる機会はとても貴重です。
この男性の方が、作り手に伝えたいと思って選んだ言葉だったのだと、今でもそのシーンを振り返って思い出します。
お客さまがお帰りになられた後、つい私は言っちゃうんです。
「よかったね~!」
実はこの言葉は店主には禁句。私が言うとなぜか親が子どもを褒めているかのような、上から目線に聞こえるようなのです😅 そんなつもりはないのですが…
でもこの時だけは、
「はい…」
と何度か相槌を打ちながら、口元をきゅっと引き締めて工房に戻っていきました。
心にしまった温かい言葉を、今もソーセージを作りながら時々反芻しているのかもしれません。