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しつこくやってます

 

先月初旬に、表面が黒く焦げたような見た目のチーズケーキを手土産にいただきました。

(すみません、今日もハムソーの話はほとんど出てきません)

 

なんだかいつも食べているチーズケーキと違う… と思いながら食してみると、濃厚さの中にもチーズの酸味をしっかり楽しめる美味しさで、これがバスクチーズケーキ(略して "バスチー" と言うそうな)だということを初めて知った次第です。今更ですかね。何年くらい前から巷に出回っていたのかしら…

 

そんな時に偶然インスタで、生クリームを使わない材料4つ、混ぜて焼くだけでバスチー出来上がり!というレシピを目にしました。

これなら作れるじゃん!と思って、早速作ってみたのですが、思ったような味や表面の焼き色が出ていません。 220℃で20分。なんだかレアチーズを焼いたみた、という感じ。これはこれで美味しいのですが。

 

「生クリームが入るレシピが多いなぁ…」といくつかレシピ検索をして、新たなレシピでまた作ってみました。

味にコクが出て舌触りも良い…、でもあのバスチー独特の表面が黒く焦げたような焼き目にはなりません。220℃で20分という指示は同じです。

 

「これ、バーナーであぶったらどうなると思う?」

田舎風パテの仕上げにバーナーを使っているのを思い出して、店主に頼んでみました。

 

淡いきつね色の表面をバーナーでファイヤー🔥しました。

「なんか違うような気がするなぁ…」 とまだらに黒い焦げ目がついたバスチーを見ながら店主がつぶやきます。

 

んん、やはり違う。こんな焼きイワシの後味みたいな焦げた香りはしないはず。

 

「たぶん、家のオーブンだとレシピより温度を上げないといけないんじゃない?店の方が温度が安定しているよ」

という店主のアドバイスで、店のオーブンを使わせてもらうことにしました。

 

念のためにもう一度レシピ検索。そこで出会ったのが、あのフレンチの巨匠 三國清三シェフがYouTubeで公開していたバスクチーズケーキでした。

三國シェフの豪快な雰囲気と、プロの手さばき、どこかキュートなトークや仕草。一目見て三國シェフが好きになってしまい、このレシピで焼いてみることにしました。温度は230℃で25分。

 

結果、焼き上がったのがこれです↓

 

おー!真っ黒じゃん!これですかね、バスチーの焼き色って。

実食してみると、うん、美味しい。ちょっと焼きすぎのような気がしますが、香ばしく焼けたところのほろ苦さと内側の柔らかいチーズの甘酸っぱさがなかなかよいコントラストです。

 

これに気をよくして、翌日また作ったのです。同じレシピで、やり方で。

ところが、オーブンでの焼成を開始して10分くらい経つと、なんだか焼けた匂いが漂ってきます。bake(焼く) というより burn (燃やす) しているような匂いになってきて、「もう止めた方がいいんじゃない?」と店主が見かねて顔を出しました。

 

今回は明らかに焼きすぎで表面が焦げてしまいました。たぶん原因は、これの前にもオーブンを使っていたことで庫内温度が設定より少し高くなっていたこととか、生地を作った後オーブンに入れるまでに少し間が空いてしまっていたこととか…。

 

ああ、美味しいものを狙い通りに作るって本当に難しい。比べること自体怒られそうですが、売り物を作っているプロの職人さんたちにリスペクトの念を抱いてしまいます。常に失敗しないでお客さまにお金を払っていただけるものを作り続ける。プロなら当然のことなのでしょうが、なんとまぁ、この素人との距離が遠いこと!

 

店主はニヤニヤして、まぁー経験積むしかないね、と。でも設定温度などいくつかアドバイスをしてくれたので、懲りずにまたやってみました。さて、偶然なのか必然なのか、次はかなりいい感じで焼きあがりました↓↓

 

ということで、この短期間にいくつもチーズケーキを作りました。冷凍保存できるので、しばらくおやつには困らなそうですが、そろそろ家族は飽きてきたかしら…。

 

こうして自分で作ってみると、お金を出せば美味しいものが常に買えることを当たり前に思ってはいけないなーと感じてしまいます。プロフェッショナルの方々が積み重ねてきた努力の上に、自分たちの幸せな食卓が成り立っているんだな、と。

 

店主にも感謝。いつも美味しいソーセージやハムや、サラミやらパテやら、本当にありがとう。

今日までお店は定休日が続き三連休を取らせていただきましたが、店主は毎日店で製造でした。お疲れさまです。

 

この三連休、私は先述の三國シェフのYoutubeチャンネルを見まくっていました。

コロナ禍が始まってからYouTubeを始められたようですが、ほぼ毎日更新をしているのか、レシピが900以上アップされていて、どれを見てもなんだか私でもトライ出来そうだし、そして何よりシェフが面白いんです♡

 

片っ端から動画を見ていく中で、三國さんが生い立ちを語る回がありました。北海道の漁村で生を受けたところから、20歳でスイスの大使付き料理人になるまでのストーリー。北海道の馬「道産子(どさんこ)」のように力強くひたむきに道を切り開いた話に感動して、書店に駆け込みました。

 

買っちゃいました。昨年末に刊行された三國シェフの自伝です。

職人でも料理人でもない私が読んでどうするんだ、と言われるかもしれませんが、きっと何かを感じて学べるはず。

 

急に三國シェフにハマりだした私ですが、今回店主は温かく見守っていてくれています。

夕食のレパートリーがアップデートするかもしれないしね。

 

私ももっと美味しいものを作れるようになりたいのです…。店主のように。