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5周年、ありがとうございます!

2017年9月29日に「ハムとソーセージの店 アインベルク」は開業しました。早いものであれから5年が経ちました。

 

一人娘は当時2歳。バイキンマンのエプロンを付けた彼女が、まだ内装工事が入る前のがらんとした店内でかくれんぼをしていた姿を今でも覚えています。

 

5年も経つと、子どもは驚くような成長を遂げますね。

しっかりもので整理整頓が得意な小2の娘は、クローズ後の店内の片付けやチラシの折り方などを手伝ってくれるようになりました。

父親が作るベーコンをこよなく愛し、時々ソーセージの出来映えや微妙な仕上がりの違いにコメントをしてきます。

 

お店もこの5年で娘に負けず成長をしたのではないかと思います。

 

5年前の開店当日の写真を探したのですが、ほとんど写真を撮っていなかったことに気が付きました。余裕がなかったのかな…。

唯一見つけたのがこの写真↓

  

あらー、ショーケースの中が初々しい!

 

ここから少しずつハム職人の引き出しを開け、品数を増やしていきました。 

今では常時30〜40種類がショーケースに並ぶ賑やかさです。

 

ありがたいことに、今ではそれぞれのアイテムにファンになってくださるお客さまがいらっしゃいます。

 

「ちょっと製造のスケジュールが厳しいから、〇〇はしばらく欠品ということで……」と決めた矢先に、

「あの、〇〇はないんですか?」とお客さまに尋ねられます。

なかなか、今や全員がスタメンです。ただ常にスタメンをフル出場させるのが難しい!

 

作り手である店主は、限られた時間で最大限の種類と量を作ることに頭をひねり、日々格闘しています。

そうした日々を積み重ねて5年が経ちました。もうこれで完成!ではなく、まだまだ素材と向き合い、レシピや工程を改良して、より美味しいものを提供できる余地があると店主は考えているようです。

 

そうして一人黙々とハムやソーセージを作っている時間はとても幸せなんだそうです。

でも、やはり、「好きなことを仕事にする」のは言うほど楽ではないはず。失敗せずに良い物を出し続けるというプレッシャーとの戦いの日々。

 

作り手ではない私は、ただただすごいなーと思うと同時に、自らが作り出したものを多くの方が求めてくださる仕事を羨ましく思ったりします。

きっとアインベルクに通ってくださる皆さまには、「美味しい」ということだけではなく、「驚きを感じられる」もの、「日常の食卓に華を添える」もの、「誰か大切な人たちを喜ばせる」ものとして、店主の作るアイテムをご利用いただいているのだと思います。

 

そうした皆さまの期待とそれに応えたいという店主の想いが掛け合わされ、アインベルクの毎日が紡がれて今に至っているのだなぁ…。

毎日店主と皆さまとの中間に立っている私は、5年の節目を迎えてあらためてそう感じました。

 

私は毎日カウンターに立って、今日はどんなお客さまが来てくださるかな…、と考えます。

 

毎週ご来店いただくお客さまもいらっしゃれば、わー!懐かしいー!お久しぶりです!とお互いに挨拶の言葉が出てしまうお客さまもいらっしゃいます。

 

静かに入店されじっくり商品を吟味し会計を済ませた後、「また来ますね」と言ってくださるお客さま、「感動した!!」とテンション高めに再訪してくださるお客さま、とにかくなんだかわからないけど、いらしてくださるだけでこちらが笑顔になってしまうお客さまも。

 

そのたたずまいや雰囲気が素敵で憧れてしまうようなお客さま、私たちもこんな風になれたらいいなぁと思うような仲睦まじいご夫婦やカップルのお客さま。ついつい接客の域を超えてお話を聞きたいとカウンターから身を乗り出してしまうこともしばしばです。

叶うことなら一緒にお酒でも飲んで語り合いたいなぁ(私の片思いです)…。あ、飲み友達になったお客さまもいらっしゃいます。

 

インスタをチェックして電話で確認をしてからご来店くださるお客さま、つたないブログを読んでくださり、いつも感想を教えてくださるお客さま。ありがたいです。

 

ご来店されるとまずはベンチに腰を下ろしてちょっと休憩、その間にいろいろな人生譚をお聞かせくださるご高齢のお客さまも。ウクライナでの戦争が始まった時には、仙台空襲のご経験をお聞きしました。

 

お一人おひとりのお顔を思い出せば語る時間が足りません。

ハム屋のカウンターに立つだけの毎日の中で、こんなにもいろいろな方がたにお会いし、そのお人柄や人生にまで触れることができるのは、本当に貴重でありがたいことです。

 

「娘ちゃんに♪」とお菓子を持ってきてくださるお客さま、私たちのお昼ごはんにとコロッケやらお惣菜を差し入れてださるお客さま、 わざわざ周年のお祝いをご用意してくださったお客さま。

 

恐縮と感動と感謝を一度に感じる時にはなんと表現したらよいのでしょうか…恐悦至極…?

こんなにも素敵なたくさんのお客さまに恵まれて、私たちはとても幸運です。ありがとうございます。

 

「周年感謝ウィーク」が終了した先週末、店主と二人、貴重なウィスキーのボトルを開けました。

 

早5年、されどまだ5年。

これからのアインべルクがどんな風に発展していくのか、あれこれ店主と話をしました。

何か明確なビジョンがあるかと聞かれると… 答えに窮します。

 

「美味しいものを作って提供し続けること」

 

そのために必要なことはして、必要でないことはしない、それに尽きます。

 

このシンプルな目標は、私たちだけでは達成できません。

原材料を提供してくださる業者さま、私たちのスタンスを理解していつも献身的に仕事をしてくださるスタッフの方々、そして日々のお客さまのご利用があって初めて成り立つものです。感謝です。

 

決してそれを忘れずに、まずは次の6周年を無事迎えられるように、これからも一歩一歩進んでいきたいと思います。

 

そんな思いを胸に抱えた朝、アインベルクからほど近くにあるパンとケーキの店「石井屋」さんの前を通りかかりました。勝山公園の目の前にある仙台の老舗パン屋さんです。

 

見上げたガラス窓には「94周年記念!」という文字が。

 

ふぁ~~!すごい!94周年!!

 

いくら人生100年時代とはいえ、94周年はないですよね…

まずは20周年くらいを長期目標に、頑張っていきたいと思います。

 

どうぞ皆さま、これからもアインベルクをよろしくお願いいたします。