長いコロナ禍で閉塞感に包まれた仙台の街に希望の光が降り注いでいるなぁ…
新緑が薫風に揺れる定禅寺通りでお祭りを楽しみながら、そんなことを思いました。
3年ぶりの開催となった「仙台・青葉まつり」。今年は規模縮小ではありましたが、大勢が集まるイベントやお祭りが開かれるのはやはり嬉しいものです。定休日の昨日、家族3人で「本まつり」に出かけました。
青葉まつりをやるみたいよー、とお客さまから聞いたのがつい最近のことでした。
3年前のお祭りで初めて雀踊りを見た当時4歳の娘が、ずっと見ていたくて帰りたがらなかったことを思い出しました。
その日の夜、クローズ作業を終えて店から出ると、ちょうど道路向かいにある青葉消防署の駐車場で、たくさんの人が集まっているのが見えました。竹でできたような長い梯子を、先端に鈎(カギ)がついたこれまた長い棒を使って、立ち上げたり回転したり下ろしたりしています。きっと青葉まつりで披露する仙台消防階子乗りの練習に違いない。私のテンションが上がりました。娘にも見せたい。
かくして出かけた昨日、会場の三越前あたりに30分前からスタンバイして階子乗りの出番を待ちます。
やわらかい日差しが注ぎそよ風が吹く気持ちの良い定禅寺通り。階子乗りには絶好のコンディション(たぶん)。
そろそろ始まるかなーと思った頃に、突然轟音が鳴り響き、もくもくと白煙が立ち上りました。
稲荷小路側では古式火縄銃演武です。
「あっちを見に行くー!」という娘を店主が引き止めます。
そしていよいよ階子乗り隊の登場です!
全7消防団があちらこちらで演技をしてくれます。私たちが陣取った目の前は宮城野消防団の方々でした。
皆さん一様に集中力マックスです。なんだか見ている私が緊張してきます。乗り手の方々は手足をぶらぶら身体をほぐしつつも「やってやるぞ!」という気合いに満ちた表情に、期待が高まります。
かけ声とともに階子が立ち上げられ、するするっと最初の乗り手が登っていきます。
「だめー!あぶないよー!やめてー!」と叫ぶ娘の口を慌てて押さえます。
初めてこんなに間近で見る階子乗りの芸の数々。あちこちの階子上で繰り広げられています。
すごいです。驚愕の大技に娘も私も拍手喝采です。
素晴らしいスキルに驚嘆すると同時に、私は消防団みなさんの魂の一致団結を見て、心が揺さぶられるような感動を覚えました。感動しすぎて涙が出ました。
青葉まつりの公式サイトでは、以下の説明がありました:
「仙台消防階子乗り(仙台市指定無形民俗文化財)」
はしご乗りは梯子の上で火事場を探す所作などを盛り込んださまざまな芸を披露するもので、元は城下町の町火消しを務める鳶職等が火事の方角を見定めるために身に付けた技に由来すると伝えられています
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「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉があるように、大都市江戸では頻繁に火事が起こっていたようです。そして現代のような科学的な消防技術がない江戸時代、大火事が起こると、水をかけて消火するのではなく、火元より風下の家屋を文字通りぶっ壊して延焼を防ぐ「破壊消火」という方法が取られていたそうです。
江戸よりも規模が小さいとはいえ、62万石を誇った仙台藩の町でも、火事はあってはならぬもの、小さなボヤの早期発見の初動が極めて重要だったと思います。
なんだかその時代の火消し役のみなさんの緊張感が伝わるというか、命をかけて町を守っていた心意気のようなものが伝わり、本当に感動しました。いやー、いいものを見せていただきました。ありがとうございます。
上述しましたが、アインベルクは青葉消防署(裏門)の道路向かいにあります。
事件性の高いサイレンを鳴り響かせて各種消防車両や救急車が出動していく様子を、店のカウンター越しに見守っています。
この時期は、オレンジ色のつなぎを着た新人であろう方々が黙々とトレーニングをする様子を毎日拝見しています。
仙台の街を守ってくれている消防署員と消防団員のみなさん、ありがとうございます。一市民として、火事を起こさないよう「火の用心」に気を配りたいと思います。
(消防階子乗りを熱く語ってしまいましたが、雀踊りもしっかり楽しみました。困難な状況の中で、青葉祭りの開催を実現してくださったみなさまに、感謝の気持ちです。素晴らしい祭りの日曜をありがとうございました!)