売れない小説(もしくは昭和の歌謡曲)のようなタイトルだな…と自分でも思いますが、年度が替わる3月末から4月初めはまさに別れと新たな出会いの季節です。
今週はお持ち帰りのギフトのご注文が続きました。職場や学校でお世話になった方や新たな道へ進む方へのお祝いの贈り物としてお求めいただく方が多かったです。
そんな大切な節目の贈り物に、アインベルクの味を選んでいただけるのは本当に光栄なことです。
ハムソーとは関係のない話ですが、子どもの頃、父の仕事の都合で私の家族は約2年おきに引っ越しをしていました。生まれは九州なのですが、すぐに東海地方に転居し、北陸、関東、東北…と北上していきました。
保育園の頃から転校続きで、新しい学校へ行くのはもう慣れたものです。4月1日の父の着任に合わせ、大抵引っ越しはその前日あたり。3月末は家の中がダンボールだらけ。食器はすでに梱包しているので、引っ越しの朝は紙皿とプラコップで朝食…という記憶が残っています。
さすがに高校生になっての転校はきついなーと思いました。友達との別れもつらいですし、自ら選んで入学した高校を去らなければいけない無力感みたいなものも感じていたように思います。
高校2年のときに初めて仙台で暮らすことになったのですが、引っ越して来る前の印象とは裏腹に、仙台ってすごく素敵ないい街だなーと思ったことを今でも覚えています。関東の田舎から出てきたからかもしれません。
そして、ここで店主と出会うことになるので、まさに「別れ」と「出会い」を繰り返して私の”今” があるのです。
生まれてこの方、根無し草のように全国を転々としてきたので、ここに永住する覚悟でアインベルクを開いたときには、仙台がこれから私と静岡で生まれた娘の故郷になるんだな、と嬉しい気持ちになりました。
そして店のカウンターで、毎年、仙台を離れる方を見送り、新たに仙台に移り住まれた方をお迎えしています。
昨日、懐かしい再会がありました。
ちょうど2年前に仙台の大学院を卒業されて、ご実家のある東海地方に就職で戻られた方から注文のお電話をいただきました。ご卒業までの間、ご友人の方々と時々アインベルクに来て下さり、最後に仙台を去る前にもお顔を見せていただいた方です。
この2年間はまさにコロナ禍。その長いような短いような混乱の期間を経て、「久しぶりに食べたくなりました」とわざわざご注文をいただけたのは、本当に嬉しく、コロナ以前の時を懐かしく思い出しました。
さらにもうお一人、2年以上前に転勤で仙台を離れ関西に引っ越された方もご来店くださいました。仙台のお知り合いを訪ねていらっしゃったとのことで、お子さまたちが大好きなフライッシュケーゼをたくさんお土産にお求めいただきました。
当時小学1年生だった下の息子さん。もう家はすぐそこなんだけど、でもトイレに行きたい!となった下校途中、時々お店に立ち寄って「トイレ貸して下さい!」と丁寧に挨拶をしてくれたことがかわいい思い出です。私はすっかり近所のおばちゃん気分でした。
仙台を離れてもなおアインベルクを覚えていてくださり、「また食べたいな」と舌の記憶として残っているということは、ハムソー屋冥利に尽きる喜びです。
明日から4月。仙台に転入してこられる方、上杉エリアに転居してこられる方が増えてくると思います。
これからアインベルクに出会う方々に私たちのハムやソーセージを好きになっていただけるように、そして、仙台を去ることになった方々がいつか仙台に戻って来られた時にちゃんとお出迎えできるように、日々頑張っていこうと思います。